Japanische Klassiker mit Furigana
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おそろしきさくご
恐ろしき錯誤
江戸川 乱歩
Lesen Sie 恐ろしき錯誤 (おそろしきさくご) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.075 Zeichen · 46 Bildschirme
併し、この女々しい繰り言とも見えるものが、実は世にも恐ろしい復讐への第一歩だろうとは誰が想像し得ただろう。
「日がたつに従って、ほんの少しずつではあったが、悲しみが薄らいで行った。いや、悲しみそのものには変りがなかったのだろうが、ただそればかりにかかずらって、めそめそと泣いていた僕の心に、少しばかり余裕が出来て来た。すると、今までは、悲しみにまぎれて、忘れるともなく忘れていたある疑が、猛然として頭を擡げ始めたんだ。……君も知っている様に、妙子のあの不思議な死に方は、僕にとってはどうしても解くことの出来ぬ謎だった」
北川氏は彼の細君の死については、最初から疑いを抱いていた。子供さえ助かっているのに、何故妙子丈けが、あの火事の為に焼死んだかということは、彼には考えても考えても解き難い一つの謎だった。
それは三ヶ月以前の春も闌な頃の出来事だった。
その頃北川氏は二軒建ちの一寸した借家に住んでいたのだが、ある日、真夜中に棟を同じゅうしている、壁一重隣りから失火して、彼の家も丸焼けになって了った。
類焼は五軒ばかりで熄んだが、風のひどかったせいか、火の燃え拡がる速力は不思議な程早かった。