Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
Lesen Sie 恐怖の口笛 (きょうふのくちぶえ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.713 Zeichen · 122 Bildschirme
その名のとおり、夜の幕の唯中に、燦然と輝く百光を浴びて城のように浮きあがっている歓楽の大殿堂は、どこに忌むべき吸血鬼の巣があるかと思うほどだった。その素晴らしく高く聳えている白色の円い壁体の上には、赤い垂れ幕が何本も下っていて、その上には「一代の舞姫赤星ジュリア一座」とか「堂々続演十七週間――赤き苺の実!」などと鮮かな文字で大書してあるのが見えた。ああ真に一代の妖姫ジュリア!
大江山捜査課長の指揮下に、整然たる警戒網が張りまわされた。こうなれば如何に戦慄すべき魔神なりとも、もう袋の鼠同様だった。
「赤星ジュリアは、ちゃんと居るのかい」
と、雁金検事は入口にいた銀座署長に尋ねた。
「はア、すこし元気がないようですが、ちゃんと舞台に出ています。一向逃げ出す様子もありません」
「そうかネ、フーム……」
と検事は大きな吐息をした。そして秘かに覗き穴から、舞台を注視した。なるほど、ギッシリと詰った座席の彼方に、見覚えのある「赤い苺の実」の絢爛たる舞台面が展開していた。扉の隙間を通じて、
「あたしの大好きな
真紅な苺の実
いずくにあるのでしょう
いま――
欲しいのですけれど……」