Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
Lesen Sie 恐怖の口笛 (きょうふのくちぶえ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.713 Zeichen · 122 Bildschirme
「赤い苺の実」の歌――それは、ひょっとすると、殺された弟が吹いていたのかも知れないと思った。
「イヤ弟ではない――」
あの怪しい口笛は、弟の発したらしいキャーッという悲鳴の前にも聞えていたが、それからのち彼が繁みの小径を探そうとして一生懸命になっているときにも、どこからともなく耳にしたではないか。殺された人間が口笛を吹くはずがない。――では口笛を吹いていたのは何者だ。
「ウム、その口笛の主が、弟を殺した獣人に違いない!」
そうだ、あの「赤い苺の実」の歌というのは実は「吸血鬼」の歌なのだ。第五節目の歌詞には「あなたの心臓をちょうだいな、あたしは吸血鬼」といったような文句があるではないか。竜宮劇場の舞台から艶やかな赤星ジュリアの歌を聴いているような気持で、あの悲鳴入りの口笛を聴き過ごすことはできない。吸血鬼の歌を口笛に吹いた奴が、あの殺人者に違いあるまい。ひょっとすると、あの妖しい歌に誘われ、蝙蝠のような翅の生えた本物の吸血鬼がこの黄昏の中に現われて、その長い吸盤のような尖った唇でもって、愛弟の血をチュウチュウと吸ったのではあるまいかと思った。とにかく悲鳴がしてから四五分経って駈けつけたのだから、まだその附近に、恐ろしい吸血鬼がひそんでいるかも知れない。