Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうりゅうとう
恐竜島
海野 十三
Lesen Sie 恐竜島 (きょうりゅうとう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.662 Zeichen · 199 Bildschirme
「そうだ。この斜面を自分ものぼってみよう」
玉太郎は、そう思って、再び斜面をのぼりかけた。
だがそれはだめだった。斜面は雨水をうんとすいこんで足をかけ、手をおいたところは、いずれも土がごそっと取れてしまって、のぼることが出来ないのであった。いくども場所をかえてやってみたが、どれもだめであった。
「ああ、のぼれないのか」玉太郎は、くやしがって、斜面をにらみつけた。しかしにらみつけたぐらいで、どうなるわけのものでもなかった。
彼はその場所に、二時間あまりも待っていた。彼はたえず崖の上を注意し、もしやラツールが顔を出しはしないかと心待ちにしていた。ラツールの名を何十回となく呼んだ。だがラツールは姿も見せなければ、返事もしなかった。心ぼそさがひしひしと玉太郎の胸をしめつけた。たえがたいほどの蒸し暑さの密林の中に、人間を恐ろしいとも思わぬ蠅や蚊や蟻の群とたたかいながら、二時間のあまり、同じところにじっとしていることは、それだけでもたえがたいことだった。
玉太郎はあきらめて、そこを立ちさった。彼は密林の中をくぐって、元の海岸へ出た。もしやそこにラツールが、先にかえって来ているのではないかと心だのみにしていたがそれもやっぱりだめだった。