Japanische Klassiker mit Furigana
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あくのはなたば
悪の花束
久生 十蘭
Lesen Sie 悪の花束 (あくのはなたば) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.888 Zeichen · 48 Bildschirme
いくら冬の用意でも、あまりに常識外れである。
「ペルチョン博士、暴発にしては、弾丸の入りかたがうますぎるようですね」
「うまいぐあいに入っている。暴発だとすれば、こういう偶然は、千例中の一つぐらいかな。どうも怪しいね。カーテンの扱いなどは、企んで、防音装置をしたとしか思えないじゃないか」
家主と室内装飾店の主人の話で、ジェームス・ヘイーンズなる人物の人相がわかった。年齢は三十七、八、中肉中背、色が浅黒く、猛烈な赤毛で、揉上げを長くし、細長い口髭をつけ、一見、ブラジル人のようだったという。
濠洲汽船の代表社員というのは嘘でない。ジェノア、ナポリ、マルセーユなどの一流ホテルに泊って、新航路開発の豪奢な披露宴をやっている。海底電信でシドニーの警察に身元調査を依頼し、欧州全都市の警察へ指名手配を出したが、それにつけても「手紙」をよこした主旨がわからない。良心だの呵責だのと言葉を飾っているが、真実、悩んでいるようなところは感じられない。また、いずれ自首する意志があるなら、死体が腐ろうが腐るまいが、そんなことまで気にやむことはないのである。たいていの加害者は、証拠を堙滅するのに苦心するものだが、加害者のほうから、死体のある場所を通知してくるというのも、腑に落ちない。