Japanische Klassiker mit Furigana
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あくにんのむすめ
悪人の娘
野村 胡堂
Lesen Sie 悪人の娘 (あくにんのむすめ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.405 Zeichen · 27 Bildschirme
へフラリとやって来たのは、お昼一寸廻った時分でした。
見ると恐ろしい不景気な駄菓子屋、埃の中に、石っころのような怪し気な商品を並べて、昨夜の肥った老女が、店番ともなく、奥でお仕事をして居る様子です。
「お早う」
声をかけると、
「オヤまあ、昨夜はどうも有難う御座いました、お蔭様でお嬢様が助かりました相で、あとで承って、本当にびっくりいたしました。ツイフラフラと死に度くなったんだ相で御座いますよ、お可哀相な御身分で……、矢張りあの、夜分遅く橋の上などへ入らっしゃるもので、死神とやらに取っ付かれなすったので御座いましょう……」
立て続けにしゃべり捲られて、鳴海司郎口をきく事も出来ません。漸く言葉の切れ目を見付けて、
「それはそうとお嬢さんは何処かへ出られたのですか」
「一寸用事が御座いまして、宿と一緒につい先刻お出かけになりました」
「行先は?」
「サアそれが私には一向解りませんので御座いますよ」
無駄は際限もなく言うくせに、用事となると皆目見当が付きません。
「あの娘さんは、身分のある方のようですが、一体どこの何んという方なんです」
これならと思うところを、さり気なく聞きましたが、乳母の表情は急に堅くなって、