Japanische Klassiker mit Furigana
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あくにんのむすめ
悪人の娘
野村 胡堂
Lesen Sie 悪人の娘 (あくにんのむすめ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.405 Zeichen · 27 Bildschirme
「馬、馬鹿な事を言え、今更そんな気の弱い事でどうするんだ、この乞食姿をそのまま、長い一生が送られるものでは無い、この父は南米へ行って、王侯のような生活をするために、暫らくこんな酔興な様子をして居るのだ。馬鹿な事を言って、折角の計画の腰を折らしてはいけない」
「イエイエお父様、王侯とやらの生活も、私は少しも羨ましいとは思いません。多勢の人達の怨みを解いて、少しでも心安い日を送ったら私は日本で乞食をしても」
「馬鹿な事を言え、もう八分通り出来上った仕事だ、アッ」
乞食はハッとした様子で、四方に眼を配りましたが、
「誰か来たようだ、お前はもう帰れ。用事のある時は竹町へ手紙を出す、わかったか、気丈夫に待って居るんだぞ、もう二度と死ぬような気を起すな、いいか、サア帰れ」
娘を引き立てるように、一方の路地へ送りこみ、暫らく打しおれた後姿を見送って居りましたが、何に驚いたか、ハッとした様子で、反対の方の抜け道へ身を跳らせます。
「どっこい待った」
その面前へ、大手を広げて立ちはだかったのは、昨夜鳴海の手から、百円紙幣を巻き上げた無頼漢風の男、
「ヘエヘエ、御免下さい、そちらへ参ります」