Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あくにんのむすめ

悪人の娘

野村 胡堂

Lesen Sie 悪人の娘 (あくにんのむすめ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.405 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

やがて川蒸気は、両国から駒形橋を経て、暮れかかった川面を、その頃改築中の厩橋の下にかかりました。

疲れた頭を夕風に吹かれようというのか、無頼漢の親分は、出口の段々を登って低い屋根の上へ半分身体を出して居りましたが、仮橋が見えると、何を考えたか、機械体操の要領で、サッと川蒸気の屋根の上へ飛乗りました。

鳴海はすぐ側に居たので、その一挙一動が実によく解ります。混雑した川蒸気の中、乗り合の衆は、二十銭で八冊売る月遅れの雑誌屋の口上に聞取れて、無頼漢風の男が蒸気の屋根に飛乗った事などには気が付きません。

夕霞は音もなく川面をこめてその辺はもうたそがれの色が濃かになって居ります。日暮れを合図に終航にする川蒸気の事ですから、これが多分最終船と言うのでしょう、続け様にトボケた汽笛を鳴らして、低い仮橋の橋桁の下へ入ると、

屋根の上の無頼漢の身体は、一寸屈んだと思うと、ピンと跳ねて、頭の上の橋桁へサッと飛付きます。実に間髪を入れざる恐ろしい放れ業。

と見る間もなく、蒸気は仮橋の下をくぐって、ゆるやかな曲線を描き乍ら、厩橋の発着所に着いて居ります。

これを見て居た鳴海は、鉄砲丸のように川蒸気を飛出しました。