Japanische Klassiker mit Furigana
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あくにんのむすめ
悪人の娘
野村 胡堂
Lesen Sie 悪人の娘 (あくにんのむすめ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.405 Zeichen · 27 Bildschirme
乞食の予言が、あまり見事に当った事などを思い合せて、鳴海司郎はもう一度斯うつぶやいたのです。
街の光で見直すと、趣味の高い家庭に育った娘らしく、地味な束髪に結って、クリーム色の美しい肌には、白粉の気が微塵もなく、つくろわぬ眉毛、切れの長い眼、象牙彫のような美しい鼻筋、唇のキリリとした、年の頃十九、二十才、何んとなく智的な感じのする、そのくせ、滅法可愛らしいところのある娘です。メリンスらしい少し地味過ぎる服装も、なんとなく清純な趣を添えて、この娘の品位を、いやが上にも高めて居ります。
「有難う御座いました、もう、ここまでで宜しゅう御座います」
不意に立ち止って、娘はこう申しました。下谷竹町のとある路地の奥、何を考えるともなく、娘に導かれて、ツイこんな所まで来てしまったのです。
「ここがお宅ですか」
「イエ、婆やの家です」
叩く下から気軽に戸を開けたのは、五十がらみの肥った女。
「マア、お嬢様じゃございませんか、こんな時分にまあまあどうなすったので御座います、お伴れの方は――」
思いもよらぬ若い男に、乳母は気を廻してプツリと言葉を切ります。
「お嬢さんを確とお渡ししましたよ、間違があるといけませんから、よく気を付けて下さい、今晩も、厩橋の上から飛びこむところを、漸くお助けして、ここまでお伴れしたんです、わかりました