Japanische Klassiker mit Furigana
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あくいんねんのうらみ
悪因縁の怨
江見 水蔭
Lesen Sie 悪因縁の怨 (あくいんねんのうらみ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.705 Zeichen · 28 Bildschirme
冗戯が執拗いと直き腹を立てまして、なんでも、江戸の鳶の衆を、船から二三人櫂で以て叩き落したと云いますからね。あなた方にそんな事も御座いますまいが、どうかそのおツモリで」
「そいつは大変だ」
「それで気は優しくッて、名代の親孝行で御座います」
そう説明している間に、早や船は岸のスレスレに青蘆を分けて着いた。
青い二ツ折の編笠に日を避けていた。八幡祭の揃いらしい、白地に荒い蛸絞りの浴衣に、赤い帯が嬉しかった。それに浅黄の手甲脚半、腰蓑を附けたのが滅法好い形。
だが、肝腎の顔は見え無かった。
「お嬶さん、毎度、お客様を有難う」と船の中から挨拶したその声が又如何にも清らであった。
「有難い有難い、これが本統の渡りに舟だ。さア御前、御出立と致しましょう。ここの取りはからいは万事愚庵が致しますから、さアさアお先へお先へ」と宗匠は若殿を押し遣る様にした。
「しからば参ろう、茶店の者、手数を掛けたな」
若殿は羽織を着て、大小を差し直し、雪駄を穿いて、扇子で日を避けながら茶店を出た。
「御機嫌よろしゅう」と茶店の女房が送るのを後にして、供の市助と共に川岸に出て、青蘆を分けて船の胴の間に飛ぶと、船は動揺して、浪の音がピタリピタリ。