Japanische Klassiker mit Furigana
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あくむ
悪夢
豊島 与志雄
Lesen Sie 悪夢 (あくむ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.930 Zeichen · 32 Bildschirme
私は女を揺り起そうとした。彼女は片手をうんと伸して、心持ち薄目を開きかけたが、またすやすやと眠ってしまった。私は本当に起き上って、帯をしめ直して煙草を吸った。そしてまた女を揺ぶった。それでも彼女は眼を開かなかった。私はそのまま逃げ出してしまいたかった。雨戸をそっと開いて逃げていっても、誰にも気付かれないかも知れない、と思う心が自分ながら浅間しくなって、も一度強く女を揺ぶり、眼を覚しかけた所を、更に頬辺を一つ叩いてやった。彼女は喫驚して飛び起き、私をまじまじと眺めていたが、ふいに云い出した。
「あなた私を打った。」
「打ったさ。いくら揺ぶっても起きないじゃないか。眼が覚めなけりゃも一つ打ってやろうか。」
「なに、打つなら打ってごらん。さあ打てるものなら、打ってごらん。」
彼女はまだ昨夜の続きを夢みているらしかった。小娘に似てもつかない焼け瀾れた淫蕩な眼付で、私の方へじりじりと迫ってきた。私はぞっと冷水を浴びたような気がした。眼を見張りながら、思い切って彼女の頬辺へ平手打ちを喰わした。そして今にも彼女から掴みかかって来られるものと、その身構えをしたが、彼女は変にくしゃくしゃな渋め顔をして、息をつめてるかと思うまに、ぽろりと大粒の涙を落して、それをきっかけにわっと泣き出してしまった。