Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あくりょうものがたり

悪霊物語

江戸川 乱歩

Lesen Sie 悪霊物語 (あくりょうものがたり) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.207 Zeichen · 17 Bildschirme

Aozora Bunko

箱の中には、白いなめらかなものが横たわっていた。蓋がすっかりひらいてしまうと、それは美しい裸体の女であることがわかった。

蘭堂は愕然として、一歩うしろにさがった。蝋人形というものが、こんな恐ろしい美を持っているとは、思いもよらなかった。ああ、これが生きた人間でなく蝋細工だなんて、そんなバカなことがあるものか。

「お気に入りましたか。美しい女でしょう。これは生きているのですよ」

老人はささやくような低い声で云った。すると、その声が蝋人形に通じたように、美しい瞼がブルブルとふるえて、パッと目をひらいた。蝋細工ではない、ほんとうの目であった。それがじっと蘭堂の顔を見つめていた。蘭堂の皷動が早くなった。逃げ出したいような恐怖を感じた。

伴天連爺さんとはよくも名づけた。彼は伴天連の魔術を心得ているのであろうか。

「ハハハ、大江蘭堂さんは、こんなものに驚く方ではないと思いましたがね。あなた、顔が青くなっていますよ。ハハハハハ、わたしは天下の大江蘭堂をびっくりさせましたね。先生のお書きになる怪談と、わたしの発明した怪談と、どっちが怖いでしょうかね」

爺さんは顔じゅうを、すぼめた提灯のように皺だらけにして、歯の抜けた口を耳まで拡げて、悪魔のように笑っていた。