Japanische Klassiker mit Furigana
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あくまのせいだん
悪魔の聖壇
平林 初之輔
Lesen Sie 悪魔の聖壇 (あくまのせいだん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.931 Zeichen · 10 Bildschirme
でも、そんなに激しく心をつかっていても、妙なもので、私の病気は幸か不幸かなおりました」
「しかし病気はなおっても、恋人を失ったためにできた心の空虚は決して満たされませんでした。彼女のいなくなった町は私には砂漠同然でした。私は退院してから一週間とたたぬうちに東京へ出てきました。そして、ただ彼女にあいたいという一心で、今日まで生きてきたのです」
「この三年の間に、私は絶望して死のうと思ったことが何度あったかもしれません。がその間の詳しいことは申し上げますまい。ただこの数ヶ月間、私は職を失って、物質的にもとりわけひどく困っていました。私の身のまわりには、金にかえることのできるものはすっかりなくなってしまいました。最後までとっておいた愛読書――それは彼女が病院で私に読んできかしてくれた思い出多い書物です――を売って八十銭の金を手にしたのが一昨日のことで、今朝はその残金が十五銭だけ私の蟇口の中に残っていたのでした」
「人間というものはどんなことがあっても餓死するものではない。窮すれば何とか道がつくものだということを兼ねがね私はきいておりました。けれども、今度という今度は、私には何ともあてがつきませんでした。