Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かなしいごかい
悲しい誤解
豊島 与志雄
Lesen Sie 悲しい誤解 (かなしいごかい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.139 Zeichen · 23 Bildschirme
まだ三つの娘は箸がよく持てず、匙を使っている。馬鈴薯の煮たのを妻がつまんでやると、娘は頭を振った。
「じゃがいもよ。好きだったでしょう。もういやなの。」
「あっち、あっち。」
娘は他の皿の方へ手を差し出している。
「じき倦きるのね。こんどは、おいしいおいもが来ますよ。おさつ、さつまいも、知ってますね。あ、それから、やきいも、綾ちゃんはまだ食べたことがないでしょう。おいしいのよ。やきいも屋が出来るそうだから、そうしたら、たくさん買ってあげましょうね。」
ほかほかした焼芋のことを、妻は説明してやっていた。綾子に聞かせると共に、自分自身にも聞かせてるのである。今年は焼芋屋の商売が許可されると新聞で見たのだ。
ふっと、私は涙を誘われそうになった。単なる感傷ではない。やきいも、やきいも。そんなつまらぬ物に、何かの楽しみを見出してるらしい妻が、そしてまた恐らく、同様な楽しみを見出すだろう綾子が、憐れなのだ。この母と娘の存在そのものが、憐れなのだ。縁につながる私自身にも、その憐れさがはね返ってくる。
鞄の中に、小風呂敷包みの弁当をつっ込んで、私は電車までの道を急いだ。