Japanische Klassiker mit Furigana
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せきべつ
惜別
Lesen Sie 惜別 (せきべつ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.984 Zeichen · 178 Bildschirme
のお伽噺など聞かせてやったり、またその娘から唱歌を教えてもらったりして、或る時、その娘が戦地の伯父に送る慰問文をしたため、周さんに直してくれと頼み、周さんはその無邪気な依頼にひどく気をよくした様子で、私に娘のその慰問文を見せ、
「うまいものですね。どこも直す事が出来ません。」と言いながら、尚も仔細らしくその娘の文章を賞翫するのである。何でもそれは、こんな工合の何の奇もない文章であった。
「昨年中はあまりに御無沙汰致し候ところ伯父さまにはすこやかに月も凍るしべりやの野においでになり露助を捕虜になされその上名誉ある決死隊に御はいりなされたそうですがかねての御気象さもございましょうとかげながら皆々にて御うわさいたして居りました猶申上ぐるまでもなく今後共に御身体を御大切に我が、天皇陛下の御ため大日本帝国のために御つくし下さるよう祈って居ります左様なら」
月も凍るしべりや、が、まず周さんのお気に召したようであった。周さんは、風景にはあまり心をひかれないなどと言いながら、それでも、お月様だけは、まんざらきらいでも無いらしい。しかし、それよりも、周さんをして長大息を発せしめたものは、この短いたよりの中に貫かれている鮮やかな忠義の赤心であった。