Japanische Klassiker mit Furigana
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せきべつ
惜別
Lesen Sie 惜別 (せきべつ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.984 Zeichen · 178 Bildschirme
新学年の開始と共に、また周さんのなつかしい顔を仙台で見た時、私は、おや? と思った。どこがどうというわけではないが、何だか、前の周さんと違っているのだ。よそよそしいという程でもないが、瞳孔が小さくするどくなった感じで、笑っても頬にひやりとする影があった。
「東京はどうでしたか。」と尋ねても、妙に苦しそうに笑って、
「東京は、もう、みんないそがしくて、電車の線路が日に日に四方に延びて行って、まあ、あれがいまの東京の Symbol でしょう、ガタガタたいへん騒がしくて、それに、戦争の講和条件が気にいらないと言って、東京市民は殺気立って諸方で悲憤の演説会を開いて、ひどく不穏な形勢で、いまに、帝都に戒厳令が施行せられるだろうとか何とか、そんな噂さえありました。どうも、東京の人の愛国心は無邪気すぎます。」
「お国の学生たちに、忠の一元論はどうでしたか、何か反響がありましたか。」
周さんは急に歯痛が起ったみたいに頬をゆがめて、
「これもまた、いそがしくて、何が何やら、僕には、もうわからなくなりました。日本人の愛国心は不穏でも何でも、本質が無邪気で明るいけれども、僕のほうの愛国心は複雑で暗くて、いや、そうでもないのかな? とにかく、僕には、わからない事が多い。