Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せきべつ

惜別

太宰 治

Lesen Sie 惜別 (せきべつ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.984 Zeichen · 178 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「あら、傘をお持ちになればよかったのに。」それだけである。あっさりしたものだ。わが意を得たりである。

私は、玄関の外に立ってこの私たちの会話を聞いている筈の周さんに逢いに行ったら、周さんはいなくて、暗闇にただ雪がしきりに降っていた。

所詮は、四十年むかしの話である。私の記憶にも間違い無しとは言えない。しかし、一国の維新は、西洋の実利科学などに依らず、民衆の初歩教育に力をつくして、その精神をまず改造するに非ざれば成就し難いのではあるまいか、という疑問を周さんの口から最初に聞いたのは、たしかにあの大雪の夜であったと覚えている。この周さんの疑問は、やがて周さんをして文章に関心を持たしめ、後に到って、文豪魯迅の誕生の因由になったとも考えられない事はないであろうが、しかし、このごろ皆の言っているように所謂「幻燈事件」に依って、その疑問が、突然、周さんの胸中に湧き起ったという説は、少し違っているのではなかろうかと私には思われる。ひとの話に依れば後年、魯迅自身も仙台時代の追憶を書き、それにもやはり、その所謂「幻燈事件」に依って医学から文芸に転身するようになったと確言しているそうであるが、それはあの人が、何かの都合で、自分の過去を四捨五入し簡明に整理しようとして書いたのではなかろうか。