Japanische Klassiker mit Furigana
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せきべつ
惜別
Lesen Sie 惜別 (せきべつ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.984 Zeichen · 178 Bildschirme
それでこのごろ、筆ならしに、いろんな文章を書いてみているのですが、」と言って机の引出しから一冊のノオトを取出しぱらぱらめくって、「こんなのは、どうでしょうか。いや、御覧になっても、支那の文章では、おわかりにならないでしょう? 一箇所だけ、日本文に直してみましょうか。」
彼は便箋に何の苦もなくすらすら数行書き流し、それから急に顔を赤くしてためらいながら私にそれを手渡した。私は一読して、名文だと思った。私はその日、無理にその紙をもらって帰った。なぜかしら、記念、という気がしたのである。周さんとまもなく別れてしまわなければならぬのだということを、その時、はっきり予感していたわけではなかったが、虫の知らせというものであろうか、なぜかその一枚の紙片に奇妙な執着を感じたのである。私はその後永く、その紙片を私のノオトにはさんで、教室で講義に退屈した時など、こっそり取り出してその名文を愛誦し、遠く離れた周さんをなつかしんだものだが、卒業真際に、ある学友から取り上げられてしまって、いま思うと実に惜しいのである。それは、まあ、後の話であるが、その時の文章は、当時、私の反復愛誦したものであるから、今でもだいたいを記憶している。