Japanische Klassiker mit Furigana
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おろかないちにち
愚かな一日
豊島 与志雄
Lesen Sie 愚かな一日 (おろかないちにち) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.045 Zeichen · 29 Bildschirme
わざわざ馬を殺さなくても、屠殺所でそれを取ったらいいわけだからね。」
「私も変に思ったんですが、瀬川さんのお話は全く本当のことだそうですから。」
「で瀬川君は何と云っていた。」
「別に何とも仰言らないで、ただそういうことがあるといって、御自分でも半信半疑で被居るようでしたの。」
わざわざ夢まで拵え出してそれとなく尋ねてみた「馬の話」が、案外つまらない内容だったので、彼は心構えをしていた感情のやり場に困った。そして妻の顔をじっと眺めた。
「お前は瀬川君にかつがれたんじゃない!」
「いいえ、全く本当らしいお話でしたのよ、でもなおも一度お尋ねしてみましょうか。」
「なにいいさ、そんな話は。」
暫く沈黙が続いた。
「では私、」と妻はふと思い出したように云った、「仕度をして参りますわ。御用があったら呼んで下さいね。」
彼は黙って首肯いた。
一人になると彼は、暫く眼をつぶっていたが、やがて身体を少しずらして、縁側の障子を眺めた。西に傾いた日の光りが、障子の下の方三分の一ばかりを明るく照していた。そして節くれ立った木の枝が一本淡い影を投じて、それに一羽の小鳥がとまっていた。