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Japanische Klassiker mit Furigana

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あいとにんしきとのしゅっぱつ

愛と認識との出発

倉田 百三

Lesen Sie 愛と認識との出発 (あいとにんしきとのしゅっぱつ) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 64.420 Zeichen · 129 Bildschirme

Aozora Bunko

思えば今を距る二千六百年の昔、「わが」哲学がミレートスの揺籃を出でてから、浮世の嵐は常にこの尊き学問につれなかった。しこうして今日もまたつれないのである。故国を追われて旅の空に眼鏡を磨きつつ思索に耽ったスピノーザの敬虔なる心の尊さ、フィロソフィック・クールネスの床しさ! 僕らはあくまでも尊き哲学者になろうではないか。私はH氏のものものしき惑溺呼わりに憎悪を抱き、K氏の耽美主義に反感を起こし、M博士の遊びの気分に溜息を洩らす。M博士は私の離れじとばかり握った袂を振り切って去っておしまいなすった。私はかの即興詩人時代の情趣濃かなM博士がなつかしい。かのハルトマンの哲学を抱いて帰朝なすった頃の博士が慕わしい。思えば独歩の夭折は私らにとって大きな損失であった。

底冷たい秋の日影がぱっと障子に染めたかと思うとじきとまた暗くなる。鋭い、断れ断れな百舌鳥の声が背戸口で喧しい。しみじみと秋の気がする。ああ可憐なる君よ、(可憐という字を許せ)淋しき思索の路を二人肩を並べて勇ましく辿ろうではないか。行方も知れぬ遠い旅路に泣き出しそうになったらゼームス博士を思い出そう。