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Japanische Klassiker mit Furigana

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あいとにんしきとのしゅっぱつ

愛と認識との出発

倉田 百三

Lesen Sie 愛と認識との出発 (あいとにんしきとのしゅっぱつ) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 64.420 Zeichen · 129 Bildschirme

Aozora Bunko

ああ私は生きたい、心ゆくばかり徹底充実して生きたい。燃ゆるがごとき愛をもって生に執着したい。されどされど退いて自己の内面生活を顧みるとき、徘いて周辺の事情を見回すとき、内面生活のいかに貧弱に外情のいかに喧騒なるよ。前者の奥には爛として輝く美わしき色彩が潜んでいるらしいけれど、いかんせん灰色の霧の閉じ籠めて探る手先きの心もとない、後者の裏には心喜び顫える懐しきものの匿れていて、私の探りあてるのを待っているらしいけれど、種々の障害と迷暗とに逢瀬のほどもおぼつかない。けれど私は生を願うものである。たとい充実せぬはかない気分で冷たい境地をうろついていても、たとえば浮き草の葉ばかり揺らいで根の無いごとく、吹けば消え散る心の靄、こんな生活をして、果ては恐ろしい倦怠のみが訪れても私は死にたくない。かかる生が続けば続くほど、ますます運命を開拓して心の隈々まで沁み込むような生が得たい。私はあくまで生きたい。しかし恐ろしい力を持つ自然は倨然として死を迫る。こんな悲惨なことがどこにあろう。これじつに人生の大なる矛盾不調和でなくてはならない。かくのごとく強烈に生に執着するわれらにとっては死の本能を説くメチニコフの人生観はなんの慰安にもならぬのである。