Japanische Klassiker mit Furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme
女は、さも済まなさそうに眉を寄せて笑った。白い小さな頤をひいて、だが、女はてこでも動かぬという感じで少尉をみつめていた。少尉は首をふり、また踊り出そうとした。女は腰をよろめかせた。同じ笑顔のまままたなにかいって首をふった。
二人はすぐ目の前にきていた。信二は前後を忘れていた。腰をうかし、こんど少尉が踊り出そうとしたら、ドラムを蹴とばしてとびかかるつもりだった。だが、少尉は腕をはなしていた。「ソリイ」彼は一言だけいい、女をはなれた。すぐ、肥った赤い服の女と踊る少尉の姿が見られた。
テーブルに戻った女は、右手で左の肱のあたりをおさえていた。怒った顔ではなかった。伍長が身体をかたむけてなにかいうと、女はやさしく首をふった。いつもの気倦そうな微笑を頬にひろげていた。
伍長は女を抱えるようにし、人波の奥を出口へと向っていた。テーブルには、ジンの透明な壜とならんで、一本のビールと、女のハンカチが置かれている。信二は、急に汐がひくように空ろになる自分の心を感じていた。ブラシを握り直していた。サイド・ドラムを打つ手には力が入らなかった。女は、少尉をさけ、伍長と散歩しに出たのだ、きっとまた帰ってくる。