Japanische Klassiker mit Furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme
「坊やさん」声が呼んだ。「これ」白エプロンの瘠せた娘が、アルミニュームのコップをわたした。熱いチョコレートがはいっていた。
「熱くて」彼は笑った。甘く熱いどろりとした液はからだをあたためてうまかったが、彼の心はいそいでいた。
「どこに行くの? お便所?」娘は訊いた。眉のうすい造作の小さな顔の娘だった。
「散歩さ」と彼は答えた。
「そう、じゃあ、私がお便所に行くの、送ってきてくれない?」と娘はいった。
「だって、……」信二はいいよどんだ。「黒の女」のことが気になってそれをみつけられたらと思っているとはいえなかった。娘は、しかし簡単に誤解していた。「だいじょぶよ、もし時間が気になんなら、それ飲みながらいっしょに歩いていけばいいよ」
娘はすぐ粗末なラシャのトッパアを着て出てきた。信二は仕方なく肩をならべてドラム缶の前を歩いて行った。
「その外套、ずいぶんちっちゃいねえ」娘は喉の奥で笑った。彼の胸ほどの背丈だった。
「だけどまだ新品同様なんだぜ。親父から買ったんだよ」
「へえ、お父さんから、買ったの?」
「うん、値切り倒して、月賦で」
「へえ、月賦で?……」
みるからに胸のひらべたい小さな鼻の少女で、だが、よく見ると愛らしい顔立ちをしていた。