Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme
もう、煙草のブローカーをすることもできない。彼は馘になった。横浜や茅ヶ崎はあの日が最後だった。
ブザーが鳴る。机にかじりついていた二三人が顔をあげて、監督の教師をうかがう。信二はゆっくりと背をのばして、答案をもって教壇にあるいた。その学年の最後の試験だった。鞄と外套をかかえて、まだ正午ちかい山の上を、彼はぶらぶらと歩いて行った。
さすがに心は明るく、空しかった。うねった石の坂道を下りきると彼は電車通りを駅と逆の方角に歩いてみた。古ぼけた小さな鳥居がある。そこを曲り、彼は音のない屋敷町に折れて行った。いちめんに砂利の敷かれたひろい車寄せに、一台の小型の外国車がとまっている。彼は大学のとなりの、外国大使館の門の前に出ていた。
べつにあてのない散歩だった。いつか屋上からみた鉛を沈めたような池の、鈍くひかる水面の静けさが彼をさそっていた。
戦災のためか表玄関は小さな赤い煉瓦の廃墟だった。ジープを洗っていた日本人の男に声をかけると、「ちょっと待って下さい」と彼は入っていった。
「いいでしょう、どうぞ」と出てきた彼はいい、信二の学帽をみて笑いかけた。「おたくのボート部はなかなか強いですね。