Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あいのために
愛の為めに
甲賀 三郎
Lesen Sie 愛の為めに (あいのために) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.919 Zeichen · 24 Bildschirme
妻はお襁褓をこしらえたり、それを取り替えたり洗ったり、それに世帯の苦労が加わりながらも、始終機嫌の好い顔をして、赤ン坊の世話をした。妻は真から赤ン坊を可愛っているようだった。三日目の朝こんな事を云った。
「あなた、この赤ン坊宅の子にしましょうか」
「馬鹿を云え」私は答えるのだ。「そんな事が出来るものか。第一親が承知しやしないよ」
「でも親が、今だに何ともしないのは可笑しいわ。きっと何か事情があって、棄子にでもしたんじゃないでしょうか」
「何を云うんだ。真昼間大勢の中で、棄子をする奴があるもんか。それに撰りに撰って、貧乏書生なんかに渡す奴はないよ」
とは云いながら私にも実は不思議でならないのだ。新聞に広告さえも出さないで、子供の行衛を尋ねようとしない親の心が分らないのだ。
妻は黙って終った。私には妻の心がよく分るのだ。私が自分の不注意から、こんな厄介物を背負込んで来た事を、苦に病んでいる事をよく知っているものだから、妻は自分の気苦労を押し隠して、私を慰めるように、ああ云うのだ。ほんとうに可愛そうな妻よ。私はどうしたら好いのだろう。
所が、天は何と無情なんだろう、それとも親に背いた罰なのか、この窮境の時に、私はふと風邪を引いて終った。