Japanische Klassiker mit Furigana
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あいよあい
愛よ、愛
岡本 かの子
Lesen Sie 愛よ、愛 (あいよあい) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.138 Zeichen · 99 Bildschirme
だが、知らない人に頭をさげたことが気になった。そしてやっぱり反射的にその男のあとを追った。広い劇場の廊下の半町程もその男のあとを追って
――あなたは、何誰でしたか。
と真面目で男の顔を見て訊いた。男はかつて、かの女の処へは逸作の画業に就いての用事で、或る雑誌社から使いに来た人だった。男は、かの女が其の時の真面目くさって自分の名を訊いた顔を忘れないと方々で話したそうだ。だが、それも、五六年前だった。画業に於て人気者の逸作と、度々銀座を歩いて居るとき、逸作が知らない人達に挨拶をされても鷹揚に黙々と頭を一つ下げて通過するのを見習って、彼女もいつまで、自分のそんな野暮なまじめを繰り返しても居なかったが、今朝の逸作が竹越氏に対する適応性を見て、久しぶりで以前の愚直な自分を思い出した。
――痛っ。
かの女は駒下駄をひっくり返えした。町会で敷いた道路の敷石が、一つは角を土からにょっきりと立て、一つは反対にのめり込ませ、でこぼこな醜態に変っているのだ。裏町で一番広大で威張っている某富豪の家の普請に運ぶ土砂のトラックの蹂躙の為めに荒された道路だ、――良民の為めに――の憤りも幾度か覚えた。