Japanische Klassiker mit Furigana
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あいしょへき
愛書癖
辰野 隆
Lesen Sie 愛書癖 (あいしょへき) von 辰野 隆 (たつのゆたか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.404 Zeichen · 23 Bildschirme
バルセロナの図書館は盗泉の水を飲んだのである。尤も盗泉ものが幅を利かせている博物館なら、ヨーロッパには珍らしくない。最も甚しいのが大英博物館、それからルーヴル……。
此処迄書いて来て、一寸後を振返って見ると愛書癖にも相当に種類のあるものだと、無くて七癖の感を深くする。その中で、最も物騒なのは、何と云っても、スペインのドン・ビンセントであるが、最も平和的で――家庭の平和は別として――而も極端なのはフランスのブーラールだろう。彼が最後に書物を買った時は、チョッキから、上衣から洋袴から、外套まで、小型の奴は悉くポケットに詰め込み、大冊は両腋に抱えたので、何処の辻馬車の馭者も彼を乗せる事を拒んだ。彼は七階建、七棟の書庫に、未だ空いた場所があるか知ら、などと考えながら、而して玉の汗をかきながら、家に帰って行ったが、其日の過労が元で、肋膜炎を起し、遂に再び立たなかった。彼こそ誠に斯道の殉教者と云っていいだろう。
僕は蔵書家と云い得る程の蔵書家でもないし、僕の愛書癖も亦云うに足らぬけれども、世の蔵書家、愛書家を少し軽蔑しながら深く尊敬する点に於ては、敢て人後に落ちぬつもりである。