Japanische Klassiker mit Furigana
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らんだのかるた
懶惰の歌留多
Lesen Sie 懶惰の歌留多 (らんだのかるた) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.369 Zeichen · 25 Bildschirme
当時、私は十八歳、高等学校の一年生であった。暑中休暇に、ふるさとの邑へかえって、邑のはずれのお稲荷の沼に、毎夜、毎夜、五つ六つの狐火が燃えるという噂を聞いた。
月の無い夜、私は自転車に提灯をつけて、狐火を見に出かけた。幅一尺か、五寸くらいの心細い野道を、夏草の露を避けながら、ゆらゆら自転車に乗っていった。みちみち、きりぎりすの声うるさく、ほたるも、ばら撒かれたようにたくさん光っていた。お稲荷の鳥居をくぐり、うるしの並木路を走り抜け、私は無意味やたらに自転車の鈴を鳴らした。
沼の岸に行きついて、自転車の前輪が、ずぶずぶぬかった。私は、自転車から降りて、ほっと小さい溜息。狐火を見た。
沼の対岸、一つ、二つ、三つの赤いまるい火が、ゆらゆら並んでうかんでいた。私は自転車をひきずりながら、沼の岸づたいに歩いていった。周囲十丁くらいの小さい沼である。
近寄ってみると、五人の老爺が、むしろをひいて酒盛をしていた。狐火は、沼の岸の柳の枝にぶらさげた三個の燈籠であった。運動会の日の丸の燈籠である。老爺たちは、私の顔を覚えていて、みんな手を拍って笑って、私を歓迎した。