Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わがじんせいかん

我が人生観

坂口 安吾

Lesen Sie 我が人生観 (わがじんせいかん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.617 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

おまけに私は谷川の中につかっているのだから、それが一そうひどかったらしい。当時はそうとは知らないから、このときの私のオドロキというものは、話の外である。私はもがいて起き上ろうとしたが、どッこい、そう簡単には起き上れぬ。まだ、それだけの精根は戻らない。落下しつつ死ぬナと思った時にはいささかも慌てなかったが、一物の消滅にはことごとく慌てふためいたのである。

私ははじめて自分の身体に怖るべき異常が起ったことを認めた。水中から手をだして、目の前にかざしてみると、まったく暗い紫の色である。斬り落した鬼の手を眺めているようで、人間の皮膚の色として、想像しうる色ではない。爪の色も同じ暗紫色に変っている。私はもう男でもなくなったし、常の皮膚の色まで永久に失ったのかと早呑みこみをしたほど悲しかったのである。そのうちに、腹の中から生あたたかい尿水が流れでたので、ようやく一縷の勇気、希望をとりもどした。疲労コンパイのアゲク、一時的にこうなっているのかも知れないと思うことができたからであった。

こうして水中にジッとつかっているうちに、谷はたそがれ、ようやくいくらかの精根が戻ってきた。