Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
とまれ、姉の道子が間もなく死歿してから、若い信夫にはいままで平気で見過した季節の風物が、そのままの形では見られなくなったことも事実だ。
信夫の詩に父をうたい、父を見詰めた作品が多い。父を見ること、父をうたうことは小説家の場合は、大ていその作家の出世作か処女作になっている。まず何かを書こうとするときには父親のことが、もっとも書きよいから書きはじめるのである。人間は先ず成長の途上にあっては何人よりも、父という或る意味の恐ろしい発言者をみとめ、その父に対しては生涯頭が上らないものだ、父親という者は先ず我々を創造してくれた、世界にたった一人しかない偉い人間なのである。ほかの誰人も我々を作り出してくれたわけではない、我々は少々馬鹿であっても父とか母とかは、敬わなければならないものだ、総ての人間の敬うということの始まりがここに存在するのだ。まして並外れた偉い父とか母とかを持った人間は、その父とか母とかの外側に飛び出すことが出来ない、世界のいかなる人間の群からでも飛び越えられても、父母の山は超えられないのである。この美しい誓いは世界が滅びて行っても、このものは不滅なのである。