Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
高原を走る夏期電車の窓で、
貴女は小さな扇をひらいた。
夕方私は途方に暮れた
夕方、私は途方に暮れた。
海寺の磴段で、私はこつそり檸檬を懐中にした。
――海は疲れやすいのね。
女が雪駄をはいて私に寄添つた。
帆が私に、私の心に還つてくる、
記憶に間違ひがなければ、今日は大安吉日。
海が暮れてしまつたら、私に星明りだけが残るだらう。
それだのに、
夕方、私は全く途方に暮れてしまつた。
孤児
声が非常に美しい娘であつたから、死床の父がささやいた。
――御本を読んでおくれ、お前の声のきこえるうちは私も生きてゐたい。
娘が看護の椅子に腰かけて頁をきり始めると、父は、いつの間にか寝入つてゐた。
孤りになつてからも、あるひは、父の生きてゐた間も、娘は自分の声の美しいことが一番悲しい事実であつた。
ある日離れに私が世話をしている奈良の女子師範の生徒が、休暇で泊りに来ていた。そこに信夫が東京から来合せて二間ある部屋の、隣合せに寝ることになった。後年、信夫は何篇かの小説を書いて発表したが、「碓氷越え」という短篇にその娘のことをこう書いている、――
※(始め二重山括弧、1-1-52)食事の席には、夫人のほかに、つひぞ見かけない若い婦人が一人ゐた。