Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
こうなると一人きりでいることに気が負け、私も出かけて見たくもなったが、いままで凝乎としていたのに、いまさら諸君の後を追うわけにゆかず、酒はさびしく既に苦くさえあった。翌日、また温泉廻りをしたが、千家は昨夜散歩して町を見て宜かったといい、町を見ないでいる私に町の話をして聞かせた。孰方かといえば私は旅行していても旅館に閉じこもっている方で、名所旧跡というものに詩情は動かない方であった。それより旅館で一人で飲んでいた方がよい、或いはふらりと煙草を買いに出て町を見るくらいの、負担にならない散歩のほうが余程性にも合い、らくであった。だから私は旅行が嫌いなのだ、いま、この記述を認めている千家元麿の印象は、散歩に出る出ないという僅か三十分間くらいの、彼の心の動きを見たことで、僅かに生きのよい彼を見ることが出来たのである。それも私が皆と散歩に出ていたら千家のいらいらした三十分の心の動きさえ見られなかったし、今日、私の書くべき生きた千家元麿は捉え得なかったであろう、人間なぞどんな時に生きた瞬間を捉まえられるかも判らない、数すくない交友のはたらきと言うものも、対手が死友であった場合、その頭にのこる強さは、かけがえのない鮮かなものなのだ。