Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
私はその口固い秘色もそうあろうし、そうなければならぬことを思い、酒行の別れぎわにじゃ行って来たまえ、たまに僕の話でも出るようだったら宜しく言ってくれと、言づけて劬わりたかったのだ。かれは愛人の家でも朝から酒にしたしみ、泊りこむこともあった。母親おもいのかれが泊りこむということも、よくよくの愛情に惹かれていたものであろう。父からうけた遺産は母親に委せ、それには一銭も手を付けなかった彼は、外からはだらしのない男に見えていても、母親を悲しませたことは一度もしていない、彼はいつも正気を持って酒の中であぶあぶやっていて、そのために遺産に手を付ける男でなかったのだ。
その愛人は間もなく病死したが、身寄りのない人らしく、彼自身もうそ寒そうに愛人のまくらべに坐っていたことを思うと、萩原のくらし向きも情事のことでは複雑に何時も入りみだれていて、「抜書ノ二」のような意味の判らない物も書いていた。頭のよい人であったが此の「抜書ノ二」は文脈自らくずれていて、宿酔のみだれが仕事にくいこんでいるようであった。私は或る詩人に萩原の愛人は美人かと羨ましそうにたずねると、いやはや美人とか何とかいう女じゃないよと笑って言い、併し善良この上なしの人でね、そこに萩原は嘗てないものを見付けていたんだと或る詩人は言った。