Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme

Aozora Bunko

ふとした話で私は迢空の怒りというものを見たのだ。

この山小屋から町への買物は、伊馬春部が送ってくれた自転車で岡野がしてくれる、自転車は町の入口に預けてあるという話であった。愛弟子で私の知っているのは小谷恒、伊馬春部、岡野弘彦、加藤守雄、小笹功、藤井春洋くらいだった。それらの愛弟子は、ことごとく眉目清秀の人達であり、終生妻というもの、女というものに近づかなかった迢空は、わかい男のこちこちした頬の、そのこちこちの中に何時も愛情をおぼえ、とりわけ従順とか反抗を読みとることで、女にあるものよりも、もっと手強いくらくらした眩暈状態のものを愛していたらしかった。

藤井春洋はそのもっとも愛された人、藤井春洋は二十三の時から硫黄島で戦死するまで、迢空の身の廻りや雑誌社出版社、講演、金銭の出入れまで、迢空のいうままに仕事をし、二人は兄弟のように仲善く、或る時はわかい二十三の妻と、四十二歳の男とが暮らしていたのである。藤井春洋は眼は大きくいきいきしていて、頬はいくらかあお白く色の変らない、がっしりした体格を持っていた。講演、講義、町の食事、歌舞伎、調査旅行の何処にも藤井は連れ立った。