Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
そこのボーイは辰雄を見なれると、階下から二階までいつもおんぶして登って可愛がり、辰雄も牛肉とボーイとを半々に好きになるようになっていた。
十歳くらいになると、お母さんは辰雄のことをうちの殿様と言って、父親につけない日の刺身のご馳走を辰雄のお膳につけていた。夜、床にはいると辰雄の枕上を歩かないで避け、裾廻りをとおるようにし、出世前の子供の枕上は歩かないものだと、お母さんは皆に言った。たとえば菓子くだもの類を貰うと、第一番に辰雄に、おまえ、お食べかいと聴いてから家の者に、頒けていた。
父の寿則は町内の顔ききでもあり、仕事の羽振りも宜かったので、料理店の出入りから芸者の温習会などにも、肝煎役だった。その芸者の踊りのつなぎに、十歳の堀辰雄はハチマキをし襷をかけた勇ましい姿で、「ベンセイ・粛々夜河ヲワタル」の剣舞を舞った。美少年の剣舞はいつも好評であった。
当時剣舞は男の子のたしなみであり、酒席に子供を舞わしめることは下町の一風俗でもあったのである。それもその筈、恥かしがりやの辰雄はそんな日のために、一年も剣舞師のもとに通うてベンセイ・粛々の剣舞を習っていたのだ。