Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
にはじめて見て、こんな男の名前を見たことがなかったので、私は詩をほぐし読みしてこの男の詩歴をしらべて見た。そしてこの男がはなはだ私にちかい憂鬱と、故郷前橋市でぶらぶらどうらく息子のくらしを嘆いているのを発見して、萩原朔太郎とはなかなか立派な名前だと感心していたが、つぎの号にも萩原朔太郎の詩がけいさいされていて、たくさん書きためた原稿から撰んで投書した余裕のあるゆたかさがあり、私がいつも先の方の頁に出ている関係から、ムシが知らせるのかこの男の詩を愛誦措かざるものがあった。ある日突然青い封筒に青い西洋紙の手紙が私の机の上に飛んで来て、君の詩は『朱欒』で毎号読んでいるが、それは抒情詩というものをあらためて皆に示すくらい高いものだといって褒めてくれた。私はすぐ返事を書いてムシの知らせるままこの男と、つまり萩原朔太郎の死去するまで二十七、八年その友情をつづけた。文士というものは原稿のうえに同じ詩人とか文士をほめるということは、よくよくのことでないと対手方の名前を原稿には書かないものだ、それほど、ようじん深く対手を見つめてから名前なら名前をやっと書くものだ、だが萩原朔太郎はそんなことはお構いなしに私のことを、率直にほめてくれていた。