Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
〈わがあいするしじんのでんき〉(ほい)
〈我が愛する詩人の伝記〉(補遺)
室生 犀星
Lesen Sie 〈我が愛する詩人の伝記〉(補遺) (〈わがあいするしじんのでんき〉(ほい)) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.167 Zeichen · 22 Bildschirme
そういう文学渡世の話になると、つるつるした佐藤惣之助の顔からきゅうに、さびしい風が吹いてくるように思われた。間もなく佐藤の幾つかの短篇を見せてもらったが、形容沢山でかんじんの人間というものが坐ったきりで、動かない描写が続いていて、私はしっかり人間を剥き出すように書く事を注意していった。しかし彼の叙景叙事の文脈は素晴らしく濶達なものだった。後年、川端康成が佐藤の散文について敬服したむねを、何かの雑誌に書いていたが、そういう見抜き居合の巧みな川端康成が、佐藤の才華を見逃がさなかったことでも、見抜きの名人である川端の本性を私はいまも故友の知己だと感じている。
だが、その小説はその二篇を発表しただけで、あとの仕事は佐藤も何も言わないし、私も聞かないで何年かが過ぎ去り、佐藤の小説は風のごとく消え失せたのである。彼に根気がなかったことも原因だが、ねばり強さもなく自ら信じることも怠ったからである。それ以後小説のことは一さい口にしなかった。私も無理に彼の才華をおだてるのが控えられた。彼は間もなく「赤城の子守唄」とか、「何々の何」とかいう艶歌情志を図に乗ってうたいまくった。