Japanische Klassiker mit Furigana
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あるさっかのやくび
或る作家の厄日
豊島 与志雄
Lesen Sie 或る作家の厄日 (あるさっかのやくび) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.284 Zeichen · 21 Bildschirme
大臣とか長官とかいう者は、人を待たせておくのは平気で、そのようなことは始終あるのかも知れないが、然し、待ってる方はばかだね。七時間半もぼんやり待ってるという精神が、滑稽なんだ。滑稽を通りこして、愚劣極まる。そういう奴隷的根性が無くならない限り、人間は救われないよ。」
「わたくしもそう思います。」彼女はようやく答える。
「それから、ずっと前の、椎名町の帝銀事件だ。都庁の防疫官の指図だと、かりに信じたにせよ、その言いなり次第に、十幾人ものひとが燕の子のように口をそろえて、一斉に薬剤を呑みこむということが、あるものか。お役人の言うことはすべてごもっともと、何の批判もなく服従する、これも奴隷的根性だ。そんなものは根絶しなけりゃいけない。つまり、批判的精神、独立自主の精神、自由な精神、それが大切なんだ。何物にも囚われないことだ、人間の解放というのも、結局は、何物にも囚われない境地へ脱け出すことだろう。」
「わたくしもそう思います。」と彼女はまた答える。
「ほんとにそう思うのかい。」
「はい。」
彼女は眼を伏せて端坐している。
「君を叱ってるんじゃないよ。ただ、僕の感想を言ってるだけだ。