Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおとこのしゅき

或る男の手記

豊島 与志雄

Lesen Sie 或る男の手記 (あるおとこのしゅき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.279 Zeichen · 86 Bildschirme

Aozora Bunko

それを根掘り葉掘り尋ねておいて、おまけに昨夜は私をあんな室に置きざりにして……。先生、何もかもありのままお話しますわ。ねえ、聞いて下さいまして? 私本当に困ってるんですの。私奥様のお世話で、河野さんの所へ参りまして、昼間は学校に通わして貰えますし、夜分は家庭教師の真似事みたいなことをして、ほんとに願ってもない仕合せな境遇だと、初めのうちはどんなに喜んだか知れませんわ。けれど、先生は御存じかどうか知りませんが、河野さんてそりゃあひどい人なんですの。松本さんも私の話を聞いて、それは立派な色魔だと仰言っていらしたわ。私はそれほどには思いませんけれど……或はお酒のせいかも知れないと思っていますけれど、松本さんに云わせると、酒は男の計略ですって。そうでしょうかしら? 夜晩く帰っていらして、夜の一時二時頃まで召上ることなんか、珍らしくもありません。奥様は御病気で片瀬に行っていらっしゃいますし、女中さんは二人共まるで山出しの田舎者なんですもの、お酒の相手……いえ私お酒なんかあすこで一杯も頂きませんけれど、お側についていてお燗をしたりなんかするのは、いつも私の役目ですの。