Japanische Klassiker mit Furigana
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せんじょう
戦場
夢野 久作
Lesen Sie 戦場 (せんじょう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.769 Zeichen · 51 Bildschirme
「……や。クラデル君ですか。ちょっとこっちへ来て下さい」
そう云う軍医大佐の語気には明らかに多少の毒気が含まれていた。しかし私は勇敢に軍医大佐の側に突立って敬礼した。
ワルデルゼイ軍医大佐は砲弾の穴の半分埋まっている斜面に寝かされている、まだウラ若い候補生の身体を電燈で指し示した。
「この小僧は眼が見えないと訴えているようですが真実ですか」
その候補生は鼻の下と腮に、黄金色の鬚が薄く、モジャモジャと生えかけている、女のような美少年であった。まだ兵卒の服を着ているところを見ると、戦線に出てから何か失策を仕出来したために進級が遅れたものらしい。顔から胸が惨酷たらしい鼻血と泥にまみれて、両手と、ズボンの破れから露出した膝小僧の皮が痛々しく擦り破れていたが、それでも店頭の蝋人形ソックリの青い大きな瞳を一パイに見開いて、鋼鉄色の大空を凝視していた。一心に私等の言葉を聞いているらしい赤ん坊のような表情であった。
その横顔を見ている中に私は少なからず心が動いた。私は生れ付きコンナ醜い恰好に出来ているために女性に愛せられる見込みもなく、男性にはイツモ軽蔑され勝ちで通って来たために、いつの間にか一種の片輪根性みたような性格に陥って来たものであろう。