Japanische Klassiker mit Furigana
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せんじょう
戦場
夢野 久作
Lesen Sie 戦場 (せんじょう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.769 Zeichen · 51 Bildschirme
しかもこの連中は比較的軽傷の者が多いらしく、村の入口らしい、石橋の処で待っていた大佐と、私たちとが一緒になって中央に進み入ると、寝たまま半身を起して敬礼する者が居た。それは特別に軍医の注意を惹いて、早く治療を受けたいといったような、負傷兵特有の痛々しい策略でもないらしい敬礼ぶりであった。
しかしワルデルゼイ軍医大佐は、そっちをジロリと見たきり、敬礼を返さなかった。直ぐに私の方を振返って、
「その小僧をそこへ突放し給え」
と云ったがその鬚だらけの顔付の恐しかったこと……月光を背にして立っていたせいでもあったろう。地獄から出張して来た青鬼か何ぞのように物凄く見えた。
私が候補生を地面にソッと寝かしてやると、軍医大佐は苦々しい顔をしたまま私を身近く招き寄せた。携帯電燈をカチリと照して、そこいらに寝散らばっている負傷兵の傷口を、私と一緒に一々点検しながら、無学な負傷兵にはわからない露西亜語と、羅典語と、術語をゴッチャにした独逸語で質問しはじめた。
「この傷はドウ思うね……クラデル君……」
「……ハ……右手掌、貫通銃創であります」
「普通の貫通銃創と違ったところはないかね」