Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんうんをかるじょかい

戦雲を駆る女怪

牧 逸馬

Lesen Sie 戦雲を駆る女怪 (せんうんをかるじょかい) von 牧 逸馬 (まきいつま) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.866 Zeichen · 59 Bildschirme

Aozora Bunko

ノックもなしにドアが開いて三人の男がはいって来る。

「H21! 着物を着て一緒に来い。」

マタ・アリは愕かなかった。ただ、取り縋るような視線を一行の首領らしい男に向けた。

「別室で着物を着たいんですけれど――。」

もちろん、許されない。首領の監視の下に裸体を包みながら、マタ・アリは忙しく考えている。H21とドイツ密偵部の番号で呼ばれたことだけで、彼女は最後の時が来たことを知った。他の二人は、アパアトメントじゅうを家宅捜索を始めている。マタ・アリは、着物を着けつつある自分に据えられた男の眼が、そういう状態に在る美しい女を見ているのではなく、敵国の一スパイを見ているにすぎないのを知って、悲しかった。

着物を着終ると、彼女の態度は急に強くなった。

「あなた方がいらっしゃったら、なんだかお部屋が臭くなったようね。」ひどいことを言って

「香を焚べましょう。」

傍らの小卓に、緑色青銅の壺に金飾の覆を被せたインドの香炉が置いてある。マタ・アリは、マッチを擦って手早く覆の小穴から投げ落す。白い煙りがあがった。

監視していたフランス特務員が、つと走り寄って香炉の蓋を取る。