Japanische Klassiker mit Furigana
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とびらのかなたへ
扉の彼方へ
岡本 かの子
Lesen Sie 扉の彼方へ (とびらのかなたへ) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.155 Zeichen · 17 Bildschirme
その痛みは珪次から離れて、この中年の男に牽かれ始めた私の魂の剥離作用に伴う痛みではなかったでしょうか。
母の家政のやり方をただ虚栄で我儘と見た旧弟子達は、だんだん寄りつかなくなっていました。一人だけ昔と変りない及川に、母は娘の私を頼むより仕方がなかったのでした。私の少しばかりの身の廻り品を纏めて小風呂敷包みにして、それを抱えおじさんのように私に附添って母のところへ送り返した及川は、ごくあっさり
「お嬢さまは私が行った時、蒟蒻を煮ておいでになりました」
と報告しました。私に武者振りついても、飽くまで詰責しようと待構えていた母も、これですっかり気先を挫かれて、苦笑するより仕方ありませんでした。そのあと母は泣き出して、おろおろ声で及川に頼むのでした。
「今後はこの子をあなたがいつまでも面倒見てやって下さい。私の手には余ります」
すると及川は案外気さくに引受けて
「は、承知いたしました」
及川はどういう意味に母の頼みを引受けるつもりか。そう云ってからからと笑いました。それから、眼を深く瞑り腕組をして、
「さあ、こういう時に、歿くなられた先生の批判が伺い度いものです。