Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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てがみ

手紙

久生 十蘭

Lesen Sie 手紙 (てがみ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.158 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

めずらしく風は東南から吹き、舟を海の上に走らせました。

四日ぐらいから、舟の中が急に臭くなりました。腐るものはなにもない。気がつきますと、左腕の切口を、アダンの蔓で強く縛ったままにして置いたので、そこから壊疽がはじまり、そのにおいだったのであります。私はおどろいて壊疽のようすをしらべ、私の命は、あと十日か十五日の間だと判断いたしました。

しかし、アンボンに帰るには、どうしても七十日はかかる。腐ったところを切って捨てたいが、山刀がないので切ることも出来ません。生魚でも喰い裂くように、腐ったところを歯で食いちぎってみましたが、そんなことではだめだと知りましたので、鱶に腕を喰い切らせてやろうと思い、舷から肱を出して待っていますと、間もなく鱶が飛びついて、二の腕のところから喰いとって持っていってくれました。私は切口をチタンの葉で包んで毒が入らないようにし、そのあとで気を失いました。

ときどき眠りからさめ、ボンヤリと眼をひらくたびに、空には太陽があったり、星があったりしました。つぎにさめると、檣の上で揺れている骨壺がありました。インドネシアのサムナー法という航海術は、星を見て、夜だけ航海する方法だといいましたが、それだけのものではありません。