Japanische Klassiker mit Furigana
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てがみ
手紙
Lesen Sie 手紙 (てがみ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.390 Zeichen · 11 Bildschirme
「さあ、行きましょう。あたしはこんなものを見るのは大嫌い。」
M子さんのお母さんは誰よりも先きに歩き出しました。僕等も歩き出したのは勿論です。松林は路をあましたまま、ひっそりと高い草を伸ばしていました。僕等の話し声はこの松林の中に存外高い反響を起しました。殊にK君の笑い声は――K君はS君やM子さんにK君の妹さんのことを話していました。この田舎にいる妹さんは女学校を卒業したばかりらしいのです。が、何でも夫になる人は煙草ものまなければ酒ものまない、品行方正の紳士でなければならないと言っていると云うことです。
「僕等は皆落第ですね?」
S君は僕にこう言いました。が、僕の目にはいじらしいくらい、妙にてれ切った顔をしていました。
「煙草ものまなければ酒ものまないなんて、……つまり兄貴へ当てつけているんだね。」
K君も咄嗟につけ加えました。僕は善い加減な返事をしながら、だんだんこの散歩を苦にし出しました。従って突然M子さんの「もう帰りましょう」と言った時にはほっとひと息ついたものです。M子さんは晴れ晴れした顔をしたまま、僕等の何とも言わないうちにくるりと足を返しました。