Japanische Klassiker mit Furigana
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うちあけばなし
打あけ話
宮本 百合子
Lesen Sie 打あけ話 (うちあけばなし) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.441 Zeichen · 7 Bildschirme
そしたら、司会者が、いきなり、今度は日本の女の人が皆に挨拶をするからといってしまった。
私は通訳をしてくれる人もその席には持っていないのだから途方に暮れ、到頭立って、私はロシア語はまだ話せない、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ三月前に来たばっかりです、私のいうこと、分りますか? そういう調子で十言か二十言話した。出来ない言葉を対手に分らせようとする熱中から私は不思議にその時聴衆の顔がはっきり見えた。私が「分りますか」というと「分る、心配するな」といってくれる髯の爺さんの笑っている顔もはっきり、よろこびをもって認めることが出来た。
これは小さい経験であるが私には教訓となった。自分に分って貰おうと思う誠意と話したいことがあり、聴衆を信ずれば、人前で話すことも恐くはない。そういうことが会得された。それ以来、必要な時には、私は聴衆がそこに来ている心持の或る面と自分の心持の或る面との接触を信じて講演をするようになった。
窪川稲子と一緒にそういう場所に出ることが一度ならずあった。彼女も講演は苦手の方で、壇に上るまでも、上ってからもどこか困ったような風をしている。