Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ピッチャーさつじんじけん

投手殺人事件

坂口 安吾

Lesen Sie 投手殺人事件 (ピッチャーさつじんじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.243 Zeichen · 57 Bildschirme

Aozora Bunko

「ゆうべの京都のタクシーはだいぶ嵐山を往復したのがいるわけだ。ひとつ、探してくれ。それから、時間表を見せてくれ。博多行急行の米原着は、午後五時五分か。京都から午後にでかけて米原でそれに乗って戻ってくるには、一つしかない。京都発午後二時二十五分。米原着四時三十分か」

居古井警部は目をとじて考えこんだ。

「米原まで出かけて行った淋しい不安な気持は分るが、しかし、ちょッと、契約書を見せてくれ」

それを手にとって、睨んでいた。

「走る汽車の中でこんなハッキり毛筆で書けるかなア。停車時間以外にはなア」

彼は又考えこんだが、一服投手をよばせた。

「君は大鹿君のところから帰るとき、上野光子さんの自動車とすれ違ったそうだネ」

「イエ、知りません」

「しかし、自動車とすれ違ったろう」

「さア、どうですか、覚えがありませんよ」

「だって、あんな淋しい道に、かなり、おそい時刻だもの、印象に残りそうなものじゃないか」

「でも、考えごとをしていたせいでしょう」

「そうかい。どうも、ありがとう」

居古井警部は、長い瞑想の後、呟いた。

「どうしても、犯人はあれだけしかないネ、ハッキリしとるよ」

そして快心の笑をもらした。