Japanische Klassiker mit Furigana
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おしかけにょうぼう
押しかけ女房
伊藤 永之介
Lesen Sie 押しかけ女房 (おしかけにょうぼう) von 伊藤 永之介 (いとうえいのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.073 Zeichen · 22 Bildschirme
「どこの家だ、それは」
「杉淵の清五郎の姉娘だ」
「えツ――清五郎」
隣村の杉淵の清五郎と言えば、一寸した旧家で源治などよりも余計に田をつくつている裕福な家であつた。しかもその姉娘の初世というのは、器量はよいし、よく働くしで評判の娘であつた。それが、もう二十四にもなるというのに、あちこちから持ちかけられる縁談を振り向きもしないということを源治も耳にしていたので、無論佐太郎の嫁にということなど考えてみたことがなかつた。
家の格から言つても源治には望めそうもない相手である上に、当人の佐太郎が家にいもしないのに、初世を嫁に呉れるというのだ。あんな働き者の嫁がもらえたら、もう田圃は心配がいらない。だが、あんまり棚からボタ餅のうまい話に、なんだか狐につままれたような変な気がして、なんと返事していいかまごついた。
「呉れるというなら、貰いもするが、ほんとかよ、ほんとに呉れるツてか」
「誰がわざ/\冗談を言いに来るかよ、ほかの家には行かないが、佐太郎さんになら行くとこういう話だ、はツは」
かね/″\初世の婚期が過ぎるのを心配していた叔父の千代助が、初世に直接あたつて根掘り葉掘りきいてみると、佐太郎の家が働き手がなくて困つているらしいという話だが、あんな家なら嫁に行つて田圃を仕付けてやりたいという、意外な返事であつた。