Japanische Klassiker mit Furigana
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ごうもんのはなし
拷問の話
岡本 綺堂
Lesen Sie 拷問の話 (ごうもんのはなし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.111 Zeichen · 16 Bildschirme
ことに一旦は屈伏しながら、更にその申口を更えたのであるから、奉行は勿論吟味方の役人たちも全然その申立を信用しなかった。そればかりでなく、かれがある夜ひそかに牢抜けを企てたことが発覚したので、かれの罪はいよいよ疑うべからざることに決められてしまった。
それでも彼は自白しなかった。本人が伏罪しない以上、この時代では容易に仕置をすることが出来ないので、奉行所では先例によって彼を拷問することになった。しかし罪人を拷問して自白させるというのは吟味方の名誉でない。口頭の吟味で罪人を屈伏させる力がないので、よんどころなく拷問を加えて、無理強いに屈伏させたということになっては、自分たちの信用にも関するので、奉行所ではなるべく拷問を避けることになっている。芝居や講談にはややもすると拷問の場が出るが、諸大名の領地は知らず、江戸の奉行所では前にいったような事情で甚だしく拷問を嫌うことになっている。あの町奉行は在職何年のあいだに何回の拷問を行ったといわれると、その回数が多ければ多いほど、彼の面目を傷けることにもなるので、よくよくの場合でなければ拷問を行わないことにしているのであるが、相手が強情でどうしても自白しない場合には、否でも応でも拷問を行う外はない。