Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆびわ
指環
江戸川 乱歩
Lesen Sie 指環 (ゆびわ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.453 Zeichen · 5 Bildschirme
A 成程、俺は随分すばしっこく立廻った積りだ。それが、ちゃんとおめえに先手を打たれているんだから叶わねえ。俺が拾ったのはただの腐れ蜜柑が五つよ。
B 俺が窓から投げたのも五つだったぜ。
A 馬鹿云いねえ。あの五つは皆無傷だった。指環を抜き取った跡なんかありゃしなかったぜ。曰くつきの奴あ、ちゃんとおめえが先廻りして拾っちまったんだろう。
B ハハハハハハ。豈に計らんや、そうじゃねえんだからお笑い草だ。
A オヤ、これはおかしい。じゃ、何の為にあの蜜柑を窓から抛り出したんだね。
B まあ考えても見ねえ。折角命懸けで頂戴した品物をよ。仮令蜜柑の中へ押込んだとしてもよ。誰に拾われるか分りもしねえ線路の側なぞへ抛られるものかね。おめえがノコノコ拾いに行くまで元の所に落ちていたなぞは、飛んだ不思議と云うもんだ。
A それじゃやっぱり蜜柑を抛った訳が分らないじゃないか。
B まあ聞きねえ、こういう訳だ。あの時は少々どじを踏んでね、亭主野郎に勘ぐられてしまったものだから、こいつは危いと大慌てに慌てて逃げ出したんだ。どうする暇もありゃしねえ。だが、おめえの隣の席迄来て様子を見ると、急に追っかけて来る様でもねえ。